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リレー小説5

リレー小説
03 /11 2010
リレー小説第5回

これまでの簡単なあらすじ。今回だいぶ端折りました。
見たくない人用に白文字にしてます。※すみません、白字にしてなかったので白に直しました!
拍手コメントレスは次回させていただきます。遅くなっていて本当に申し訳ございません!


*あらすじ*



理不尽な世の中を、「そういうものだ」と諦めることで今まで生きてきたエム。
彼女は朝から晩まで縫製工場で働き、食うや食わずの毎日を送っていた。
ところがある日…
町をあげての一大行事――領主の息子の花嫁をお披露目する会――が行われる日のこと。
エムは見ず知らずの怪しげな老女に出会い、小さな巾着を押しつけられる。
それが、彼女の受難の始まりだった。



あらすじおわり。

 爆ぜるように開いたドアの向こうには、先ほど別れたばかりのエドワードがいた。
 だがエムはこれが本当にあの執事なのかと疑っている。乱れた髪は汗で貼りつき、双眼は見開かれたまま固まっている。冷ややかなほどに礼儀正しかった彼とは別人だ。
「お逃げ下さい! ここにいては……っ!」
 あえぐような声は、轟音に掻き消えた。
 建物を丸ごと揺さぶる振動に悲鳴を上げる。強い力に引き寄せられて、唐突に視界がぶれる。
 気がつけばエムはエドワードの腕に抱かれていた。
 いや、匿われているのだ。信じられないことに天井がひしゃげている。シャンデリアが音を立てて落ちていくのを、エムはエドワードの肩越しに見た。
 石の壁が、まるで失敗したパズルのように壊れていく。限りなく天井に近い部分には幾何学的な形の穴が開いていた。まだ日差しの弱い朝の光が差し込んでいる。天気は晴れ。雲が少々。
 だが、青空もすぐに見えなくなった。
 なかば崩落しつつある壁の向こうに、ぎょろりとした目玉が覗いたのだ。
 湖面にも似た不思議な青色の瞳だ。片方だけでも、天井にかかっていたシャンデリアの二倍はある。
 ――化け物だ。すっかりと影に沈んだ部屋の中でエムは震える。
 壁の穴はまだ小さく、片目ずつしか覗くことができないらしい。丸太のような指が、いとも簡単に穴を広げた。手つきは易々としているのに、エムやエドワードたちのサイズではおおごとだ。信じられない音と塵を上げて、壁の石が落ちていく。
「えどわああど」
 ぐおんぐおんと空に響く大きな声。
「それがわたしのつまか」
 エムをかばうエドワードの腕がこわばった。
「エセルレッド様!」
 エムはぎょっとエドワードを見上げる。――今、何と言った?
 だがエドワードは青ざめながらも、強いまなざしで目玉を見据えた。
「婚礼の儀は、日暮れからです! どうかご住居にお戻りください!」
 ぐいと頭を押さえられて、エムはエドワードの胸に抱きつく格好になった。
 逃げようともがくが無駄だ。エドワードはエムの頭をかたくなに離そうとしない。
「みえないい。みえないいい」
 地を揺らしかねない声を聞いて理解する。エドワードは、あの巨人にエムの顔を見せないようにしているのだ。
「どうぞ、心を落ち着けてお待ちください。花嫁はここにおります!」
「しんじる。しんじるぞぉえどわあどおお」
 部屋を覆う影が消え、床が大きく跳ね上がった、気がした。
 巨人が去っていったのだろう。足音は二歩目から遠く、気をつけていなければその気配もわからない。エドワードの腕の力がゆるみ、エムはその場に崩れ落ちた。
 腰が抜けてしまっている。座っていられるだけの力もない。
「……どういうことなの……?」
 エドワードに支えてもらいながら尋ねる。答えを聞く権利は十分にあるだろう。
 何しろ、先ほどの話が確かなら、エムは今夜、巨人の花嫁となるのだから。
 エドワードは、間違いを指摘された大人のような態度で告げる。
「あれが、本物のエセルレッド様……領主様の、ご子息です」
 不機嫌にも見える執事の顔を、エムは燃やしつくすほどににらんだ。


コメント

非公開コメント

No title

担当Yです。
うわあ、コメント忘れてた。
すごく突っ込みたかったのに!
巨人ですぜ。この発想はなかった(笑)

レガロシリーズ編集部

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