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リレー小説4

リレー小説
02 /17 2010
リレー小説第4回

これまでの簡単なあらすじ。ちょっと変なので、あとで変えるかもです。
見たくない人用に白文字にしてます。
すみません拍手コメントレスは次回!


*あらすじ*

理不尽な世の中を、「そういうものだ」と諦めることで今まで生きてきたエム。
彼女は朝から晩まで縫製工場で働き、食うや食わずの毎日を送っていた。
ところがある日…
町をあげての一大行事――領主の息子の花嫁をお披露目する会――が行われる日のこと。
エムは見ず知らずの怪しげな老女に出会い、これをお披露目会が開かれる大広場に持って行けと、
小さな巾着を押しつけられる。
お披露目会の余興では、花嫁となる娘が虹色の小鳥を空に放つのが習わしとなっている。しかも偽の花嫁役も用意され、普通の小鳥を何羽か放って人々を沸かせるという前座付き。
この日を祝う人たちでごった返した大広場の様子に戸惑うエムだったが、幸運にも関係者と思しき女の子をみつけることができた。しかし近寄る途中に巾着を取り落とし、中身が飛び出てしまう。途端、沸き起こる歓声。周囲の人々は半ば呆然とするエムに笑顔を見せ、祝いの言葉を投げかける。
間もなく我に返ったエムの耳に届いたのは「あの小鳥は私の小鳥なんだから!」という甲高い声。
なんとなく気まずい空気が立ち込めるのを感じてその場から逃げ出し、とりあえず家に帰ったエム。
だがそうして、一睡も出来ずに迎えた翌朝、突然訪れた使いと名乗る男たちに連れられて領主の住む城へ向かう羽目になる。領主の城には、「最後の希望だった…」と寂しげに微笑む男(美形)の姿があった。


あらすじここまで。



 室内に沈黙が満ちた。
 最後の希望――最後の、誰もが認めざるを得ない、唯一の儀式。それが、虹色の小鳥を花嫁が空に放つ行為。
 華々しい領主一族の婚約は、町中の人々に見守られながら執り行われる。旅人が通りがかったならただの祭りと思うかもしれないが、実際には脈々と受け継がれて現在まで残ってきた由緒正しき儀でもある。
 だからこそ間違いなど許されない。手違いなどあるはずもない。
 けれど、その間違いが起こってしまったのだ。
 言葉はいまだ紡がれない。ものを考える力がごっそりと抜け落ちてしまったようだ。緊張と混乱だけが全身を支配し、エムはその場に立ち尽くすことしかできなかった。
 やがて重苦しい空気に耐えきれず、エムはほんのわずか身じろぎした。
 ぎりっと奥歯を噛みしめる。
 エセルレッドに絶望的な微笑で見つめられるくらいなら、言葉を荒げて責められた方がまだましだった。そうしたらこの呪縛はたちどころに解けただろう。自分は巻き込まれただけなのだと、無関係な人間なのだと、婚約なんてするつもりはないと、そう怒鳴り返すことだってできたはずだ。
 だが、エムの願いも虚しく、彼はそっと目を伏せた。
 ――逃げよう。
 ぐっと拳を握って決意する。
 ここから出たら家には帰らず、別の町へ行くのだ。どうせたいした財もない気ままな一人暮らしだ。単調な生活の中、孤独にだって慣れている。新しい仕事と住居を探すのは大変だろうが――今の生活だって苦労してようやく手に入れたものだが、手違いで虹色の鳥を放ち、誰一人望まない慣習に則っただけの不幸な結婚をするくらいなら、全部捨ててしまった方がずっといい。
 花嫁となるはずの娘が消えたらきっと騒ぎになるだろう。
 でも、それでいい。
 目の前にいるこの男は、もう一度本当の花嫁のために祈ることができる。
 決意を固めた直後、ドアを叩く音がした。エセルレッドが声をかけるとドアが開き、上背のある、やけに見目のいい男が部屋へ入ってきた。一礼する姿が憎らしいほど優雅だ。黒髪がさらりと流れ、眼鏡の奥の伏せがちの瞳も髪と同様に深い闇の色――エムは思わず身を引いた。エセルレッドも美形だが、こっちの男もかなりの美形だ。女の自分が一番貧相に見える。
「部屋の準備が整いました」
「そうか。……エドワード、悪いが彼女を部屋に案内してもらえるか?」
「かしこまりました。エム様、こちらへ」
 エドワードに声をかけられ、エムは呆気にとられたまま口を開く。
「部屋?」
「ええ。これから婚礼まで、あなたには領主の妻としての作法や仕事を覚えてもらわなければなりません。執事のエドワードはあなたの教育係です」
 努めて淡々と語るエセルレッドにエムは言葉もない。
 執事なんて生き物をこんなに間近で見られる日が来るなんて夢にも思わなかった。そういえば領主という生き物もはじめてだ。こんな大きな建物に足を踏み入れるのも、もちろんはじめてである。急に現実が押し寄せてきて、エムの動きがぎこちなくなった。こちらです、と言われるまま部屋を出て、半ば茫然としながら先導するエドワードについて分厚い絨毯を汚れた靴で踏みしめる。
 これが廊下なのかと問い詰めたくなるほど広い通路には、いかにも値のはりそうな調度品がずらりと並んでいた。それらを茫然と見つめたエムは、やがてひときわ豪奢な扉の前に案内された。
「こちらがエム様のお部屋になります。すぐに着替えと朝食を運びます」
 開かれたドアの奥は、目を背けたくなるほど絢爛豪華だった。真新しい絨毯、光り輝くシャンデリア、人を迎えてくつろぐためのテーブルは技巧を凝らし、ソファーは年頃の娘を慮ってか豪華な中にも可愛らしい装飾がほどこされていた。奥にはバルコニーがあって白いテーブルと華奢な椅子が置かれている。細かな刺繍がされたカーテンも一級品だろう。ああ、あんな高価な布はいまだかつて触れるどころか見たこともない――エムは視線を彷徨わせる。ドアは左右に二つずつ。今見える一室だけで、今まで住んでいた家がすっぽり入ってしまいそうな大きさだった。
「どうぞ」
 言われてふらふらと足を踏み入れた。こんな生活ちょっといいかも、と夢見心地で考えて肩越しに漆黒の執事を見る。
「あの」
 言葉が途切れた。真正面から見たエドワードの瞳には明らかな侮蔑の色がにじんでいた。エムの顔からさっと血の気が引いた直後、ドアが音をたてて閉じた。
 その音で、エムははっと我に返る。
「な、何あれ! 感じ悪い!!」
 主人の妻になる女にあの態度はないだろう。言葉こそ丁寧だが、刹那に見せた表情は敬意とは程遠い感情でしめられていた。
 もっとも、妻になる気のないエムにはどうでもいい話だ。
 少し時間を置いてドアを開ける。来た順路は覚えているが、さすがに正面玄関から出るのははばかられるので裏口を探さなければならない。どう行けば早くここの建物から出られるか模索しつつ顔を出すと、
「どうかされましたか?」
 いきなり声がかけられた。首をひねってそちらを見ると、ドアの脇で仁王立ちした衛士がニコリともせずエムに尋ねてきた。
「な、何でもない! ご苦労様!!」
 威圧感に驚いて首を引っ込めた。慌ててドアを閉め、部屋の中央に移動してそろりと振り返る。
「監視されてる?」
 まさかそんな、そう思ってバルコニーに向かう。カーテンを開け、彼女はあっと声をあげた。刺繍だと思っていた模様は白い柵だったのだ。ご丁寧に床から天井までびっしり隙間なく張り巡らされている。手をかけてみたがびくともしなかった。
 エムは踵を返して駆け出した。右手に見えるドアを開ける。浴室やトイレに設置された窓に取りすがり、そこにも柵が取り付けられているのを見てまた駆け出した。今度は反対側のドアへ向かった。こちらは寝室。窓がある。勢いよくカーテンを開け、直後に肩を落とした。やはりここにも無愛想な白い柵があるのだ。
 まるでこの部屋は、巨大な鳥篭のよう。
「逃げられない……」
 よろよろと中央の部屋に戻ったエムは、ソファーに腰かけようとして動きを止めた。あまりに綺麗で触れられないのだ。ガラス越し、いつかこんな家具を買えたらいいのにと思って店を覗いたことはあったけれど、実際目の前にあると喜びより当惑の方が大きいらしい。
 ここは自分の居場所ではないのだと思うと、落胆が溜息となって零れ落ちた。
 逡巡し、ちらりとドアを見た。
 窓という窓が塞がれているなら、やはりここは正攻法、正面のドアから出るしかなさそうだ。
 エムは衛士をどう丸め込むか考えながら足を踏み出す。
 直後、ドアが乱暴に叩かれた。

コメント

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No title

担当Yです。
おー! 眼鏡執事! ひゃっほーい! ドアを叩いたのが誰か気になりますね。どういう展開になるんだろう。楽しみです♪

レガロシリーズ編集部

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