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リレー小説2

リレー小説
01 /22 2010
リレー小説第2回
これまでの簡単なあらすじ。見たくない人用に白文字にしてます。



*あらすじ*
理不尽な世の中を、「そういうものだ」と諦めることで今まで生きてきたエム。
彼女は朝から晩まで縫製工場で働き、食うや食わずの毎日を送っていた。
ところがある日…
町をあげての一大行事――領主の息子の花嫁をお披露目する会――が行われる日のこと。
午前中で仕事が終わり、家に帰る途中、エムは見ず知らずの怪しげな老女に出会う。
老女はエムに小さな巾着を押しつけ、それをお披露目会が開かれる大広場に持って行け言う。
お披露目会の余興では、花嫁となる娘が虹色の小鳥を空に放つのが習わしとなっている。しかも偽の花嫁役も用意され、普通の小鳥を何羽か放って人々を沸かせるという前座付き。
巾着の中身を想像し、なにか嫌な予感がするエムだったが…。

あらすじここまで。



 大広場は、今日というおめでたい日を祝う人やそれに乗じてはめを外す人たちでごった返していた。
 エムは老女から押し付けられた巾着を胸元に引き寄せ、広場を行き交う人たちに目を配っていた。怪しげな老女は広場に行けばこの巾着をどうすればいいのかわかると言っていた。だからここに居る誰かに聞きさえすればなんとかなるかと思っていたのだが、周りに居るのははしゃぎ楽しんでいる人たちばかりで、関係のありそうな人は見当たらない。
 もぞもぞと動く巾着の中身を傷つけないように気をつけながら―─もっとも、エムは中身さえ見ていないが、嫌な感じはひしひしと伝わってきている──人波を移動していると、その中で一人だけ違う表情を見せる女性がいることに気づいた。
笑えばきっと愛らしいだろうに、今は眉をハの字にして辺りを見渡し、そわそわと落ち着きがない。この場で少々浮いているその女性は、同じように酒も飲まずに踊りもしないエムを見つけて大きな目をさらに大きく見開いた。
 女性は口元に手を添え、エムに向かって何か叫んでいるようだった。だが、軽快なバイオリンの演奏やら歌い声やらにより彼女の声はかき消されてしまっている。
 エムは彼女の手に見覚えのある巾着を見た。
「今、そっちに行くから!」
 彼女こそが探していた人だ。
 エムはそう確信して女性へと近づこうとするも、進めば進むほどに阻む人が増えていき、女性の姿が見えなくなっていく。それでもなんとか彼女のいる方向を間違えず、酒飲みの迷惑な動きさえもかいくぐり、あと一歩というところまで近寄った。
 女性はホッとしたように笑い、エムも安心して笑みを見せた。
 そこに、ドッと笑い声が起こった。一気に人の流れが速くなり、エムの背中にだれかがぶつかった。
「ああっ!」
 エムの手から巾着が離れていく。慌てて手を伸ばしたが、時すでに遅く、紐を掴むことしかできなかった。すると、まるで魔法をかけられたかのように袋の口がするりと緩み、窮屈な場所に閉じ込められていたものが袋から飛び去っていった。
 歓声が沸く。周囲の人々がエムに向かって笑顔を見せる。エムはしばらく放心したままでいたが、「おめでとう」と肩を叩かれてやっと自分がこの歓声の中心にいるのだと気づき瞬きした。
 エムは腕を持ちあげる。指はしっかりと紐を掴んだまま。しかしその先にある巾着袋はぱっかり口を開け、「なんにも隠すものありゃしません」と底を見せていた。
 先ほど飛んでいったのは、もしかして鳥ではなかっただろうか。
「違うわ!」
 甲高い声がした。
「あの小鳥は私の小鳥なんだから!」
 その叫びにエムはぎょっと振り向いた。そして気まずい空気が立ち込めてきたのを感じて、一目散にその場から逃げ出した。




コメント

非公開コメント

No title

担当Yです。
巾着の中身ってやっぱり虹色の小鳥だったんですかね。
ただの小鳥かなあ。でも小鳥じゃないかもしれないですよね。
「私の小鳥」って叫んだ子も誰かは明確に書かれてないから、今からどうなるのか楽しみだ!

レガロシリーズ編集部

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